ロカボでは一切のカロリー制限が不要で、脂質に関しては食後血糖値の上昇を抑えるという理由から、むしろ摂取を推奨しています。
糖質は満腹中枢を刺激しづらく、必要以上の食欲を誘引するリスクがありますが、対してタンパク質と脂質は満腹中枢を刺激する物質を分泌するため、必要なエネルギー摂取量に達すると満腹感が得られます。
そのため、ロカボではタンパク質と脂質をしっかり摂り入れた食事を推奨していますが、カロリーが食品選びの基準となっている現状では脂肪を避けようとする傾向が強く、その結果として必要以上の糖質を摂ってしまう“逆転現象”が起きてしまっている方もいます。
さらに、動脈硬化の元凶といわれる中性脂肪の合成にも、「低脂肪・低カロリー信仰」が悪影響を及ぼしています。
中性脂肪と脂質の関係をめぐっては、米国心臓学会が2011年に発表した「科学的声明」(Scientific statement)で「油の摂取量を5%控えると血中の中性脂肪が約6%増加する」というエビデンスを明示しました。
さらに最近の研究で、脂質よりも糖質摂取を控えることで肝臓の脂肪合成が減り、脂肪肝が改善され、血中の中性脂肪が下がりやすいというメカニズムが明らかになってきました。
血中の中性脂肪を合成する肝臓を休ませる上で糖質制限が重要ということは世界的なコンセンサスとなっており、「中性脂肪の値が高い人に対して油の摂取を制限する指導は、もはやあってはならないこと」なのです。